第4章 ✽+†+✽――✽+†+✽――
【演技 2】
陽気にドアを開け
キングサイズのベッドに、勢い良くダイブする
そんな翔くんを後目に、変に落ち着かなくて……
ドアを背にボケッと突っ立ったまま、口にするセリフを考えてた
「あ~…
アッチィ」
ジャケットを脱いで
ネクタイを抜き取り
シャツのボタンを1つずつ弾いてる
鬱陶しそうに、靴下まで脱いで……
バサッと大の字になった
「ちょ、シャワーは?
こんなじゃ風邪引くし」
仕方無く、ベッドの傍らに身を寄せると
伏せた瞼がいきなり開いた
思わぬ視線に、身体が強張る
言葉なんてなかった
だけど……
濡れた瞳は、明らかで
経験上知りすぎた甘い空気に、
すべてを察する
そっか…
翔くんは……モトメテル……
吸い寄せられるように
頬を包み、その唇に指先で触れた
逸れない目線は
"答え"そのもの
そのまま、ベッドに上がり、
翔くんに覆い被さった
斜めに傾け触れる瞬間も
その大きな瞳は閉じることなく、
唇だけが、受け入れるように開かれた
啄むように重なり、
すぐにそれは深いものに変わる
淫靡な音が、部屋に響く中
これでいいと思った
"どうして…?"だなんて、聞かなければいい
言葉なんて存在しなくていい
ただ、お互いに
欲しかったから、それだけでいい
偽りなんかじゃない
ただ、それだけのことなんだから、
意味がなくて当たり前だ
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