• テキストサイズ

DIVE TO BLUE 【気象系BL】

第4章 ✽+†+✽――✽+†+✽――


【Be with you 2】





「だーかーらっ、
シツコイって。もっと適任いんでしょ」




この店がかなり儲けてんのは、誰だって知ってるし


VIP専門のせいで、無法地帯だ


本来なら裁く側が、客なんだもんな


だから、成り上がりたいヤツなら皆、この店が欲しいって思うだろうけどね






「あのっ、

予約してて!魚が好きだって聞いたから!」

「え?」

「ゆっくり話したいなって、食事でもしながらっ」

「……」





この間来た時、
美味いイタリアン予約してるとか言うから


刺身だったら行ったのに…って言ったの、本気にしたんだ





「新鮮な魚料理で、活け作りが……」





どうしてこんなに必死なんだろ

整った見た目とは裏腹な、

しどろもどろな態度がオカシイ





「だからっ、ダメかな……?」

「いいよ」





腹へったし

タダ飯食えんなら、ラッキーだ




「え…いいの?」

「うん。ちょうどさっきのオヤジで今日は終わりだったから」

「あっ…そう、か。

ちょうど良かっ…イヤそーゆう意味じゃなくって」


「別にいいよ?

身体売るのが仕事なんだから」





なに変な気使ってんだろ(笑)


変わったヤツ









着替えて店を出ると


既にタクシーが待っていて、俺を迎えてくれた




「かしこまった店じゃないよね?」




後部座席に並んで訊ねてみた



俺の格好は確実にドレスコードに引っ掛かる



"大丈夫"だっつーけど……前例あるし



だけど……


半信半疑で連れてかれた店は、予想外だった






「……どう、かな?」





不安げな声に、

また吹き出しそうになる




「いいじゃん」





てっきり敷居の高そうな料亭とかだと思った


それだったら、ソッコー帰ってたけどね





こじんまりとした店には、

カウンターと、堀ごたつ式の席が2つほど


割賦のいい店主が、奥さんとふたりでやってる、暖かい店だった


上機嫌に酒を飲み始める俺に

彼は安心したのか、
眉を下げて、嬉しそうに笑ってる




「良かった…喜んでもらえて」

「んまいね、これ」





夢中で料理を頬張る俺に、

彼は、箸を付けることなく、また話し出した




.
/ 168ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp