第1章 ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚
【Liar】
「ふぅん。……で?
頭にきたから帰って来たって?」
スウェット姿の翔は
壁に寄り掛かり腕を組んだまま
玄関先に立った俺を見下ろしてる
「明日、ちゃんと謝るしさ。反省してる」
「そんで?酒井君にお前は怪我させたの?」
「やっ…、それは大丈夫。酒井には手出してない」
「……それ、酒井君がやったんだよな?」
「まぁ…、俺が悪いんだから、いいんだけどね」
背中にびっしょり汗かいて……
気まずいこと半端ねぇ
やっぱ、無理あったか?
「とりあえず、俺
シャワー浴びていい?」
靴を脱いで、
翔の前を横切ると
俺の背中に向かって、低い声が響いた
「ちょっと課題で確認したい事があったんで……」
「は?」
何の事だかわからず、足を止め振り返った
「いくら電話しても繋がんなくて……
帰ったら、潤に連絡するよう伝えて下さい」
「………っ、」
「……って、酒井くんから伝言」
アイツ……
普段、家電なんて掛けてこないじゃん
あ~…、アリバイ頼んどくんだった……
「人のせいにすんなよ?
お前、そういうとこあるからな」
「ばっ!してねぇっつうの」
何もかも見透かされてるみたいで、翔の視線が鬱陶しい
「とりあえずシャワー浴びて、しっかり頭冷やしてこい。
話はそれからな」
「……わかったよ」
もうじき日が変わる
シャワーのお湯が傷口に染みて
体のアチコチに小さな痣を見つけた
気怠い体は、
ふわふわのベッドを求めてる
だけど今日は
当分それは叶いそうにない
自業自得、なんだけど……
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