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DIVE TO BLUE 【気象系BL】

第1章 ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚


【世の中捨てたもんじゃない】







「あ、の…」




向かいのソファーに座ったものの


何か言うワケでもなく、
その人は、胸ポケットから出した煙草を吸い始めた


立ち昇る煙を黙って見ながら、
気持ちを落ち着かせようと、ギュッと掌を握り締めた



「キミ……高校生?

この店、未成年はNGだって知ってる?」

「……すいません。
でも俺、何も知らなくって」

「ふーん。でも、だからって騒ぎを起こした理由にはなんないよね?」



笑顔で言われた言葉は、
怒鳴られるより、断然怖い




「ホントにすみませんでした」




立ち上がり頭を下げると、


また……気まずい沈黙が流れた



「とりあえず、警察呼んで……

後は親御さんに連絡して…
いろいろ弁償して貰わないといけないしね」

「えっ…ちょっ、」






警察、弁償

……飛び込んだワードに、
一気にパニックになる




「仕方ないよね?
それだけのコトしたんだもん。

……キミ、名前は?」


「っ、……松本……潤」




翔に……知られたら、


まじで困る


それだけは、絶対避けたい





「俺っ、ちゃんと弁償します。

だからっ…、あの」

「………マツモト、ジュンくんね。

ふぅん……そっか」





煙草を灰皿に押し潰し、
相変わらずの笑顔で、話し続けた






「まぁ、実際の所、
警察沙汰はこっちも都合悪いのよ。

弁償は、……そうだね、出世払いでいいや」

「まじっ……すか?」





願ってもない状況に
もう一度、深く頭を下げた




「俺、絶対!ちゃんとしますから。
……あの、連絡先だけ」





話のわかる人だと感激した俺は、

尻のポケットから携帯を出し

連絡先を知らせようとした






"オーナー、お客様です"と黒服に呼ばれ、頷いて立ち上がるその人は


突拍子もない事を言い出す







「たぶん、キミとはまた会いそうな気すんだよね(笑)

お家の人に心配掛けちゃダメだよ~」


「は?」







高そうなスーツ姿を見送ると


押し寄せた安心感に力が抜けた





結局、最悪な事態は


何事もなかったかのように、無事に済んだ




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