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『イケメン戦国』〜生きる〜

第1章  〜プロローグ〜


なお目線

「ゲホッ…何。」
急に襲って来た煙たさに驚いて目をあける。

「えっ!」
目の前は火の海。
さっきまで、石碑の前にいて…。
雷!そう雷が鳴って。
燃えるものなんてなかったのに……。

唖然としていると、眼の端にキラリと光が映る。

そちらに眼をやると。

「危ない!」

咄嗟に声を上げる。
その声に吃驚した様に、1人の人影が去っていく後ろ姿が見えた。

「あれって、刀だ。」

呟いた瞬間。
ガラガラと音を立てて柱が崩れる。

「キャッ!」

頭を抱えしゃがみこむ。

逃げなきゃ。
そう思い目をあけると、刀を振り上げられていた先に男の人が座ってる。
このままだと、あの人死んじゃう!

そう思った瞬間。
身体は駆け出していた。

「起きて!起きてください!」

「なんだ。貴様!!」

「なんだは良いから、早くたって!
逃げなきゃ!早く!」

私はその人の手を掴み、どこにそんな力があったのか?立ち上がらせると、夢中で走り出していた。
途中、また柱が落ちてくる。

「キャッ!」

今度は、しゃがみ込みそうになる私を、引っ張ってくれてその人は走り出した。

何とか外に出る。



「はぁはぁ……。」
息は完全に上がり、呼吸を整える事に必死の私。

「どうやら俺は貴様に命を救われたらしいな。
寺の坊主と密通でもしていた遊女だろうが、礼を言ってやる。」


息を整えながら、その人を見上げる。
格好もおかしい。口調も……。

「呆けた顔をするな。俺の名は知っているだろう。」

「えっ?……知りません」

「知らずに助けたのか?褒美目当てかと思ったが……まあいい。知らぬなら教えてやる」

「………いえ、別に教えてくれなくて、結構です。」

「妙な女だな。貴様。俺にその様な口を聞いた人間は初めてだ。」

その人は、笑いながらそう言った。

「俺は安土城主
尾張の大名
織田信長。
これから天下統一を果たす男だ。」

『おだのぶなが?』

私は、今出て来た建物の門を見る。

『ほんのうじ?』

「今、何年ですか?」

「天正10年だが、それがどうした?」



『天正10年。織田信長。本能寺にて死去』

そんな、教科書のフレーズを思い出して、私は頭を抱えしゃがみこんだ。





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