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『イケメン戦国』〜生きる〜

第2章 心を閉ざして


第三者目線

2人の様子を信長は遠くから見ていた。

熱も下がり夜に様子を見る必要もなくなったが、たった数日の事でも習慣の様になっていた。

大きな泣き声は幼子のそれに似ていて、奴とは気付いていたが出ては行かなかった。
後から秀吉に話を聞き
『少しは気が晴れたか?』
と思っていた。

秋野を女中としてつけたのは、信長だった。
長年織田家に使え、時に秀吉をも叱ることの出来る肝の座った女。

何があったのかはわからないし、聞く必要もないが、折角手に入れた幸運をみすみす無くすわけには行かない。

【生きる事】

それを諦めた人間を戻す事は難しい。
この時代は常に【死】と向かい合わなければならない。
その中で【生きる事】を諦めれば、それはすぐに身近にやってくる。

落馬が故意であると聞いた時、
身体の傷を知った時、
男では駄目なことは分かっていた。

秋野の生い立ちを思えば、奴にどう接するかも予測はついていた。
後は奴次第。

それは、思ったより良い方に傾いた。

「秋野にも褒美を与えなければな……我が幸運を手元に置いてくれたのだから……」

そう言いながら、2人が部屋に入った事を確かめ天主へと足を運ぶ。


「信長様!」

「何だ。秀吉」

「何故この様な時間に?あっ!まさか……」
信長は、秀吉には奴の所に行っていることは言ってないが、感づいたか?思った瞬間。

「また、金平糖探しですか?」

秀吉から出てきた言葉に思わず苦笑する。

「散歩だ」
そう告げると、再び天主へと足を向けた。



秀吉はまだ笑いを止めない信長を珍しいものがあるものだと、眺めていた。

「あんなに穏やかで、優しい顔は久しぶりだな」
そう呟いた。
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