第29章 一緒に…
第三者目線
「信長様…私平気です。もっと触れてください」
信長の胸に顔を埋めると、最後は消え入りそうな声でなおは囁く。
「っっ…」
信長はその愛らしさに、なおをかきいだく。
「…怖くないから…信長様なら大丈夫だから…忘れさせてください。信長様で…私を満たして……」
顔を上げたなおの瞳は、涙が溢れキラキラと輝きながら頰を流れていく。
なおの愛らしさに、情欲を抑えきれずに触れてしまった自分が情けなくなるほど、その顔は綺麗だった。
「信長様…さっきも言ったでしょう。大丈夫だから…私を許してくれるなら…触れてほしい……それとも、穢れた私は…いや?」
なおは涙を目に溜めて信長を見つめる。
そんな事を思っていないことは、充分に分かっていた。
それでも…確かな確証がほしいと、なおは望んだ。
「なお。そんなことはない…もっと触れたくてたまらん…だが、身体が心配なのだ。もう…貴様を傷つけたくない」
信長もまた、なおの気持ちは痛いほど分かっていた。
だが、それを抑えてもなお、なおを大事にしたいと、そう思っていた。
「触れてもらえない方が傷つきます…信長様と一つになりたい…私を求めてほしい」
「なお…分かった。辛かったら言うのだぞ…」
そう言うと、なおの帯に手をやるとシュルシュルと解いていく。
そっと合わせを開くと、以前と変わらぬ白く透明な肌が露わになって、月明かりに照らされる。
「なお…綺麗だ。貴様はもう誰にも触れさせぬ。身も心も、全て俺に寄こせ」
そう言うとその首筋に顔を埋め、強く吸いついた。
「んんっ…」
「綺麗に付いた」
白い首筋に咲いた紅い華を、そっと舌で舐める。
「信長様…もっと、もっと付けてください。貴方の物だと分かるように…」
「物ではないぞ…愛おしい奥方だ」
信長は、微笑みを浮かべてなおを見つめる。
「…もう二度と離れたくない。離さないでください。お願い…」
なおは信長の首に手を回すと、その唇に触れるだけのキスをした。
「なおは泣いてばかりだな…それも愛らしいが…もう泣くな」
信長はその瞼にキスをする。
「これは嬉し涙だから…」
なおは泣きながら微笑んだ。