第29章 一緒に…
第三者目線
なおは昼餉に政宗特製御膳を食べて、また寝ていろと信長に褥へと追いやられ、寝ずにいようとしているのに眠りについた。
浅い眠りは夢をもたらす……。
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ザアザアと土砂降りの雨が身体を濡らし、雷鳴に目が絡む。
視線が高く、馬上にいることがわかった。
「なお、大丈夫か」
上を見ると同じ様にびしょ濡れの信長の顔が見えた。
「あの小屋まで……」
声がして隣を見ると、佐助の姿が見える。
何故?と問いかける間もなく、ピカッ!と稲光が空で光りあまりの近さに目を閉じる。
次の瞬間、光に驚いた馬が暴れる。
信長にしがみつき落馬は避けたが、なおはそのまま信長によって馬上から降ろされた。
同じ様に降りた佐助と三人で、小屋に向かって走り出す。
背の高い草に足がもつれて、しゃがみ込んでしまう。
「なお。大丈夫か。もう少しだ」
信長の声に何とか足を踏み出そうとした。
再び稲光が鳴り、刹那。
「ドォーォーーン!!」
雷が三人に向けてふって来た。
「キャァァァァーー!」
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「キャァァァァーー!」
突然上がったなおの叫び声に、信長は慌ててなおを抱き締める。
「なお、なお!」
そう何度も呼びかけると、目がゆるゆると開き、茫然とした表情で信長を見る。
「大丈夫か…また、魘されておったぞ」
信長は目が開いたことに安堵の表情を浮かべ、なおの頭をそっと撫でる。
「信長様…ここは?」
まだ、夢現を彷徨っている様に見えるなおに、優しくキスを落とす。
「天主だ。また、嫌な夢でも見たか?」
「……はい。雷が襲って来て…雷に打たれて」
そう言うとガタガタと震えだすなおの背を、信長はゆっくりと撫でて、大丈夫だと何度も囁いた。
少しずつ震えは治り、落ち着きを取り戻したなおに安堵すると、褥にゆっくりと横たえる。
「身体も少し冷えたか?今日は湯浴みをしよう」
そう言うと、外にいる家臣に声を掛け、準備を頼んだ。
そして、夕餉を食べ終えると、信長はなおを抱えて湯殿へと足を向けた。