第19章 繋がる想い
第三者目線
信長となおが広間に着くと、既に膳は用意されており三人が待っていた。
「待たせたな」
信長はなおの手を引いたまま、広間に入り迷うことなく隣に座らせる。
「美味しい〜。信長様!お味噌汁とっても美味しいですよ!」
なおは信長を見つめ、嬉しそうな顔を向ける。
「ふっ。そうか?」
信長は今迄誰にも見せた事のない様な、柔らかな微笑みをなおに向ける。
秀吉、家康、秋野は、そんなに二人の様子を見て、三人で顔を見合わせ安堵の表情を浮かべた。
「…俺たちの気も知らないで…」
家康は溜息をつきながら呟く。
「良かったじゃないか…なおが暗い顔でくるより、あんな風に笑っている方が良い」
秀吉は笑いあう二人を見ながら微笑む。
「…あんだけ騒いで…まぁ、こんな薬使わずに済むならそれが一番ですけどね…」
そう言って胸元に手を寄せる。
「秋野?どうした」
下を向いたまま、お膳に手が進まない秋野に秀吉は声をかける。
「…すいません。嬉しくて…胸がいっぱいで…」
秋野は目のかすかに涙をたたえ、やっとの思いで話す。
「秋野?」
なおは様子のおかしい秋野に気付く。
信長の顔を見ると、行けと言わんばかりに目配せしてくれた。
なおは秋野に駆け寄る。
「秋野…どうしたの?」
優しく微笑むと顔を覗き込む。
「なお…」
秋野はなおを抱き締める。
「秋野…」
そっと背中に手をまわすと、その手で秋野の背をそっと撫でる。
言葉にしなくとも、秋野がどれだけそして、誰よりもなおを心配していたことがわかる。
暫く二人で抱き締めあい、二人共泣いていた。
「…申し訳ございません。この様な事…」
秋野はなおをそっと離すと、皆に向け頭を下げた。
「秋野」
信長に呼ばれ頭を上げると、いつの間にか眼前に現れた信長は、なおを隣に座らせる。
信長は居住まいを正し、その眼をしっかりと秋野に向ける。
「貴様の娘なおを貰い受ける。良いか?」
予想もしない言葉に、秋野は一度息をのむが、深呼吸して
「はい。なおをよろしくお願い致します」
そう、微笑みながら告げた。
「なおを泣かせたら、信長様でもご容赦致しませんよ」
そう、付け加えて…