第2章 マトリちゃんと雨と傘
やっと書類の確認が終わり、歩き回ったせいで大分足取りが重くなっている。
朝霧さんは私の濡れてる髪を見てだらしがないと小言を言いながら温かいコーヒーを入れてくれた。
泉(ホント、お母さんみたい…)
と、なんとか口にするのを抑え、警察庁を出た。
やっと課に着いてドアを開けた。
泉「戻りました~」
関「ああ、おかえり、色々ありがとうな」
泉「そんな!私なんてただ資料届けに行っただけですから」
青山「それだけじゃないだろ?」
泉「え?」
すると関さんは私に紙袋を渡した。何だろうと中を除くと、何故かあの女の子に渡した私の折りたたみ傘と、手帳と折り紙の鶴が入っていた。
泉「え?え、なんで?!あれ、いつ手帳落としたの?!」
今大路「先程、小さな女の子を連れた方がここへ来たらしいですよ」
今大路さんはクスッと笑いながら私に話しかけた。
関「ぜひお礼をと行ってきたが、ちょうどいなかった時でな」
夏目「やっぱり傘、持ってったんだね」
泉「う…」
夏目くんから何となく目をそらす。何となく悪いことをした気分だ。
夏目「多分怜ちゃんの事だから、俺にまた余計なお節介て言われると思ったんでしょ?」
泉「いや…まぁ…うん」
やっぱり、夏目くんにはそう思われていた。やらなきゃ良かった…と後悔する気持ちがこみ上げる。自分の軽い行動は皆にはどう見えてるのだろうか…。段々と気持ちが重くなって、私は下を向いた。