第2章 マトリちゃんと雨と傘
関「ん、ああ、分かった。続けて悪いな、よろしく頼む」
青山「泉からですか?」
関「ああ、捜査一課の方に呼ばれたから行ってくると」
今大路「色々歩き回って大変ですね…」
由井「帰ってきたら俺がマッサージをしよう」
関「…ずぶ濡れで帰ってきたから、風邪を引かないといいが…」
夏目「……」
青山「おい夏目、そんな黙り込んでどうした?」
夏目「俺ちゃんと見たんですよね、怜ちゃんが傘入れたの」
今大路「僕も去る時に何か持っていくのは見えたが、何かまでは…」
由井「傘を持っていったのに何故濡れて帰ってきたんだ?」
関「まさか…途中で誰かに襲われたとか…」
青山「関さん考えすぎです」
そこへ捜査企画課にお客さんが来たとフロントから電話があった。関さんが前のめりで玄関へ向かった。するとそこには小さな女の子を連れた女性がいた。
女性「お仕事中申し訳ありません。泉怜さんはいらっしゃいますか?」
関「泉は今取り込み中でして…どのようなご要件でしょうか?」
女性「うちの娘が傘を貸して貰ったみたいで、ぜひお礼を言いたくて…そしてこれを落として行ったので…」
差し出されたのは淡いピンク色の折りたたみ傘と少し濡れた手帳。
女の子「お姉ちゃんありがとう!って…伝えて下さい!」
女の子は少し恥ずかしそうに折り紙で作った鶴を渡した。
関「…このような所までありがとうございます。泉に伝えておきます」
関さんはそれを受け取り、嬉しそうに戻って行った。