第13章 夏目くんと甘い王子※裏注意
突然起きた春くんに私は動揺を隠せなかった。
春「君がいきなり手握ったりするから、そりゃびっくりして起きるでしょ。それに泣き出すしさ」
春くんは上体を起こして私と向き合っている。私の背中をさすりながら、春くんは困ったように眉を下げて言った。
春「怜が泣いてる理由は察しはつくよ…大丈夫、心配するほどじゃないから。前よりちゃんとコントロール出来てるからさ…君に泣かれるとどうしていいか分からない」
春くんが自分の爪を見つめて静かに呟いた。自分よりずっと苦しんできてるのに、どうして私が苦しまないようにしてくれるのか。
私は思わず春くんにダイブする勢いで抱きついた。
怜「春くん…一緒に…ずっと一緒にいようね」
沢山春くんに言いたいことがあったけど、私が今心から言いたかったこと。
怜「やっぱり仕事柄お互い大変な時もあるけどさ、苦しい時は支えあっていこうね…」
春「……今更何言ってんのさ、当たり前でしょ」
ぶっきらぼうに春くんはそっぽを向いて答えた。微かに赤く染まった頬がとても愛おしかった。
怜「明日は2人で休みだね。あ!今更だけど起こしちゃってごめんね!早く寝ないと」
私は春くんの体から離れようとした時、急に腕を引かれそのまま春くんの上へ倒れ込んだ。
怜「ちょ、春くん…?」
春「確かに眠いんだけどさ…ずっとお預け食らってた俺の身にもなってよ」
春くんはそう囁くと、寝転がったまま私の後頭部に手を回し、グイッと私の頭を寄せ唇が重なる。
私は突然のことに驚いたが、その甘いキスから逃げることは出来ずに身を任せた。
何度も角度を変えて口付けを交わし、私は酸素を求め僅かに口を開けたその隙を春くんは待ってましたと言わんばかりに熱い舌を流し込む。
怜「っふ……んっ」
春くんに歯列をなぞられ、全身がぞくぞくと逆立つ。ようやく離れた私の口からは飲み込みきれなかった唾液が垂れた。
春「久々だからかな…いつもよりエロい…」
春くんは私の頬に手を当てて、もう一度音を立ててキスをした。そして耳元まで顔を近づけた春くんは、驚くべき言葉を口にした。
春『今夜は月明かりのもと、君を深く愛させて下さい…』