第12章 スタマイ小話
《ポキッ》
残り3cmのところで私の羞恥は限界を超えた。その証として残りわずかなポッキーのはしをお互いがくわえていた。
桧山さんは一瞬驚いた顔をして、残りのポッキーをもぐもぐと食べ尽くした。
桧山「この勝負は俺の勝ちだな、お嬢さん」
桧山さんは嬉しそうに、無邪気な子どものように笑った。散々人を振り回しておいて、こうやって人を自然と魅了してしまう…私はそんな彼に怒る気力もないのだ。
怜「桧山さんが楽しかったならいいんですけど、こういう事は相手を選んでやって下さいね」
天然無自覚イケメンの桧山さんだったら、下手したら自分の会社の部下にもやりかねない…私は少し苦笑いして言った。でも桧山さんはキョトンとした表情で答えた。
桧山「相手を選ぶも何も、俺はお嬢さんだからやったんだ」
怜「…へっ?」
桧山「ポッキーも美味しかったし、また付き合って貰おう」
怜「え、遠慮します!!!」
怜(もう心臓持たないから…!!)
また今日も桧山さんの天然な言葉に振り回された私は、再び早くなる鼓動をなんとか抑えていた。
※※※
桧山(お嬢さんの真っ赤な顔…羽鳥の言っていた通り近くでよく見れた)
俺だって最後まで食べればどうなるか知らなかった訳ではない。でも、思いも伝えていないのにそれは出来ないと思った。だからあのまま止まらなかった俺をお嬢さんが折ってくれて良かった。
間近でみる彼女はいつもよりも真っ赤で、焦っていて、小動物みたいに可愛かった。
桧山「いつかちゃんと気持ちを伝えたら…ポッキーなんて使わずに、お嬢さんの唇を頂こう」
俺は残りのポッキーを食べながら、彼女のことをまた考えていた。
☆すみません。桧山さんのキャラが迷子になりました…ごめんなさい(><)