第20章 ep20 我慢
《及川side》
りこのことを見守るとは言った、言ったよ!?だけどさ、恋人ととして、男としての欲の我慢はもうし切ったと思うんだけど!
りこ以外の女の子に興味なくなったのが一月
三月の末に付き合い出して、
今は四月末。
普通の恋人なら、健全な高校生カップルなら、もうそろそろ次の段階に進んでもいいんじゃないかな?
少なくとも、俺はそう!
なのにりことは、付き合いだしてから1回もそう言った雰囲気になってない!
なに?"付き合ってほしい""宜しくお願いします"は、アレはコントだったの!?
キスもほんと、触れるだけのもの。
もっと、あのふにふにで柔らかい唇に触れたいし、それ以上の事で、りこのことをめちゃくちゃに乱したいって欲望だらけなんだけど、それを俺が顔に出す訳にはいかない。
折角りこの彼氏になれたんだし、このポジションは死んでも守る。
それに、元彼、
あっっっの最低最悪な元彼の次の彼氏だからさ、色々と、扱い方も優しくしないとダメじゃない?
過去のトラウマってやつは、時間をかけて消し去らないとって思って今日まで何も言わず手も出さずにきたけど!
そ ろ そ ろ 限 界。
俺の我慢も知らずに今日も他の部員にチヤホヤされてさぁー、俺の身にもなってよ。
本人全く好意に気づいてないけどね!どんまい、お前ら!!
ーーー・・・
及川の愚痴を延々と聞かされた岩泉は少し考えて頭をかく。
「ま、お前の気持ちも分かんなくもねぇけどよ」
「岩ちゃんが俺に共感してくれる日がくるなんて、俺もう泣いていい!?」
岩泉に飛びつこうとした及川を軽く避ける。
そのまま壁に激突する及川をちらりと見て、
「りこはバレーにはめちゃくちゃ熱いけど、それ以外に関しては結構受け身がちだと思う。
毎日寮抜け出して彼氏の家行ってたって言うのも、相手に合わせてたからだろうな。
だから、あいつは意外と待ってんのかもしれねぇぜ?
女から求めんのって、結構勇気いるんじゃねぇのか」
と言った。
「・・・確かに。岩ちゃんにしては乙女心分かってんじゃん」
「もっかい壁に顔面ぶつけてやろうか?」