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Story〜君の隣で同じ景色を見る〜

第20章 ep20 我慢





四月、桜の咲く頃、無事に新入生も入学し、バレー部にも中学時代の後輩を含め、多くの部員が入部してくれた。

これが高校バレー生活、最後のチームになると考えると、今まで以上に士気が上がる。




(ま、顔には出さないけどね〜)



及川は普段通り、笑を絶やさず落ち着いた姿勢でいた。



マネージャーとして正式に入部したりこも大分業務にも慣れ、男所帯特有の体育館で堂々と着替えするのも、恐ろしく散らかる部室の掃除も、チームメイトのノリにも慣れていけるようになっていた。



最近ではチームメイトとより深く・・・


「りこさん、今のスパイクの打ち方、相手側から見たらわかりやすいっすかね?」


「うーん、打ち方変えてるのは分かるけど、もっと大胆にみせないと、ちょっと相手のレシーバーは分かっちゃうかな」




チームメイトと仲良く・・・


「りこさん、ちわっす!」


「矢巾くんおはよ、昨日、頭痛いって言ってたけど、どう?良くなった?」


「大丈夫でした!多分、昨日ゲームやり過ぎたからです!心配してくれてあざっす!」




仲・・・



「りこ、こないだ発売されたバリボー読んだ?」


「まだ!読みたい。物品チェック終わったら見るから、花巻くん次見せてっ!」





〜〜〜〜〜!!




「あいつらさぁ!りこと仲良くなり過ぎだってぇの!!」





練習後の、いつもの部室にて及川は我慢の限界、と言うように大声を張り上げた。




今日は自分と岩泉が最後まで自主練で残っていたため、部室には二人しかいない。



りこは最近忙しく、まだ教官室で書き物をしている。

なんでも、毎月送っているOB宛の通信で、現役チームの近況とか、大会での成績とかも送ってるらしい。



「ただでさえマネ業に追われて忙しいのに、あいつら俺がりこと話す時間さえ与えないでりこに声かけにいってさ」



椅子に座って子供のように長い足をばたつかせる。



そんな様子の幼馴染みを見て、岩泉ははぁ、とため息をついた。



「今は、マネージャーをやりたいって言ってくれたまみこの事を、見守っていこうと思うよ、なんてカッコつけてたやつがざまぁねぇな」


「うっ・・・」
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