第2章 ep2 疑問
「岩ちゃーーーん!」
職員室で鍵を受け取った及川は岩泉の姿を見つけると今朝と同じく彼の背中に飛びついた。
「っなんだよ及川、離れろっ」
舌打ちをし、岩泉は自分に抱きつく及川の腕をつねった。
「痛い!心が痛んでる俺に優しくして!」
腕を解放し、抓られた箇所を摩る。
ーーー・・・・・・
「あー?りこに冷たくされただぁ?」
部室内で昼ごはんを食べてながら岩泉は及川の話を聞いていた。
及川は弁当を平らげ、買っておいた牛乳パンをちぎりながら頷いた。
「なんか、早々に会話打ち切られたって感じ。折角の再会だったのに・・・」
はぁ、とため息を零す及川。
(こいつがこんなに落ち込むの珍しいな・・・。女に相手にされなくてもケロッとしてんのに)
「俺も、さっきあいつに話しかけたぞ」
「どうだった!?」
「同じような感じだったな。俺達がここに通ってるってのは知らなかったみたいだ。何でここに転校してきたのかは、聞きそびれた」
「そうなんだ。俺達のこと、忘れてたって感じでも無かったし・・・」
小学校時代の記憶であるが、りこは人見知りなんてしない、誰にでも気さくに話せるタイプの少女だった筈だ。
「ま、今日は、転校初日でアイツも緊張してたんじゃねぇか?お前がそんなに気にしてたら何か気持ち悪い。」
「そうだよねぇ。気持ち悪いは置いといて・・・」
(考えすぎかな。また明日、会ったら話しかけてみようかな・・・)
そうして及川は深く考えないようにして、その後の部活に臨むことにした。