第19章 ep19 前進
男子バレー部のマネージャーになる事を両親に告げると、とても驚いた顔をしていた。
けれど、10月に学校を辞めて以来、何の気力もなく過ごしていた娘が何かを始めたいと決意した事に、何かを察し、頑張りなさいと、快諾し背中を押してくれた。
"徹ちゃんもいるし、安心だね"
母親は2人の関係に気づいているようで、ニコッと笑ってくれた。
(よし、頑張らなくちゃなっ!)
ーーー・・・
修了式も無事に済み、つい先日から短い春休みに入った。
午前練習の前に、監督がりこを連れて現れ、部員全員を集合させる。
「今日からマネージャーとして、チームに参加させて頂きます。えと・・・、主務の仕事もしますが、簡単な球出しも出来るので、自主練とか、手が足りないなって思ったら声かけて下さいっ、皆さんがバレーするのを、精一杯サポートするので、宜しくお願いします!」
手短に監督が補足を加え、新しい体育館で、新しい立場でまたバレーに携われる事になった。
(四月になれば、新しい一年生も合流するだろうし、みんなとの信頼関係が作れるように、頑張らなくちゃな!)
「お願いします!」
及川の挨拶に、他の部員が続く。
突然の男子の声に圧倒されつつも、
「宜しくお願いします」
これで顔合わせが終了した。
ーーー・・・
初日という事もあり、今日は見学だけさせて貰う事にした。
一通りの流れを分かっていないと、あたふたしてかえって足でまといになってしまうと思ったからだ。
(アップが終わる頃にボールかごの方に行って、ボール渡す準備してた方がいいな、すぐにパスだし)
次回からの練習でできるようにシュミレーションしていると、頭にポンっとボールが落ちてきた。
「あたっ・・・」
「あんま考え込まないでいいから、今は慣れる事だけに集中してろよ」
ボールを落としてきたのは岩泉で、彼なりにフォローしてくれているのだろう。
「う、うん、ありがとう・・・」
正式な入部は四月に入ってからだが、またこれからも、彼にはお世話になりそうだ。