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Story〜君の隣で同じ景色を見る〜

第18章 ep18 景色







ーーー・・・






体育館に響く、ボールが跳ねる乾いた音。


床を蹴るシューズの音。



木の床の匂い。






2階のギャラリーに椅子を用意してもらい、りこはそれに座って及川に言われた通り練習を見学していた。




アップ、パス、レセプション、ブロック、スパイク練習が終わり、紅白戦をしているところだ。



確か、こないだの県大会ではベスト4で終わったと言っていた。
まだ1.2年しかいないチームだけれど、とてもまとまりのあるチームだと思った。


全員の練習に対する姿勢が揃っているというか・・・





及川や岩泉、その他の2年生が練習の意図をしっかり把握して取り組んでいるため、下級生もそれに習ってできている。



時折、ゲーム中に監督が話すことを聞き、主将である及川がその意図を汲み取り全体に話してまた練習を再開する。



いつもお昼休みに見ている及川とは、違う主将の顔していた。





チームの先頭に立ち、統治できる秀でたカリスマ性のようなものが感じられた。


それはきっと生まれつきではなく、努力によって磨かれたものだと、りこは思った。




ギャラリーは冷えるから、と膝掛け用に及川が貸してくれたブレザーを握りしめ、りこはじっと練習を見ていた。






(あのリベロの子上手だな、キャッチの動作に無駄がない。あーでも、意外と強打よりフェイント落とされるの苦手っぽいな、結構落ちてる・・・


花巻君は、レフトだったんだ。ジャンプ力もあるから、ちゃんと上でボール捉えてる・・・)



及川と岩泉以外の選手のプレーにも目がいく。



(あの向こうのセッターの子、一回話したことあるな、挨拶してくれた・・・一年生だったのか。ハンドリング上手だな・・・あ、でも結構レフトにトスが集まってるから、レフトの人、ブロックに捕まりだしてるな・・・・・・・・・あ)





岩泉が前衛のローテーションになった。



(一ちゃん、エースって言ってたな。試合も後半だし、もう三枚ブロック付いてる。あ、ドシャット。上から打とうとしたっぽいけど・・・・・・あ、すごい悔しがってる)



わかりやすく頭を掻きむしって悔しがってる岩泉に、トスのことについて話す及川。


いいな、この光景・・・



皆が上を向いている・・・
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