第17章 ep17 空虚
「一ちゃんはああ言ってくれたけど、普通に考えてみたら、呆れちゃうでしょう?こんな・・・こんな私の事・・・」
涙がまた溢れ出てくる。
(話した・・・話してしまった・・・徹くんに・・・)
不意に、あの元恋人の顔が脳裏に浮かぶ。
自分を冷たく見下すようなあの眼差し・・・
及川もそんな顔をしているのかと思うと怖くて、目を合わせられなかった。
「ごめ、んね・・・?泣くのはおかし、よね・・・?自分が悪いのに・・・こんな・・・」
だめだ、過去のことを話している時は平然を保っていたのに、話していくうちにあの頃の記憶や感情が再び溢れ出て止められない。
「本当に、ごめんなさい・・・私・・・」
その瞬間、りこは及川の大きな腕に抱きすくめられたーーー・・・