第17章 ep17 空虚
11月の検診で発覚した流産。
必要なホルモンが分泌されなかったのか、子宮内膜に問題があったのか、お医者さんは説明してくれたが、私はもう聞くことができなかった。
泣き叫んで、泣きじゃくって、
このお腹の赤ちゃんに謝り続けた・・・
隣にいたお母さんは、ひたすら私を抱いて、涙を堪えていた。
いるなんて自覚が無かったけれど、
エコーで映された映像には確かに存在していた。
二ヶ月程、私のお腹にいてくれた命は、
旅立ってしまった。
大好きだったあの人との子供・・・
でも、私はあの人に振られたことばかり引きずって、
ごめんね、ごめんね・・・
1度もあなたを愛せなかった・・・
せっかく、きてくれたのにーーー・・・
私は暫く、部屋に引きこもった。
何も食べず、誰とも合わず、部屋で泣き続け、自分の愚かさを懺悔した。
強いところでバレーがしたくて、両親の心配を押し切って外の世界へ飛び出した。
中学の頃にがむしゃらになって夢を追いかけ、そして夢を掴んだ。
夢を掴んだけれど、新たに夢を掴もうとせず、私はバレー以外の事に余所見をしてしまった。
そちらを・・・恋愛を優先してしまい、
結局育てられもしない子供を授かり、
父親と認知されず恋人には振られ、
学校も辞め、バレーも辞め、
そしてお腹の子を、殺してしまった・・・・・・
なんで、こんなことになってしまったんだろう、
そう問いかけるが、全部全部、私が悪い。
私がバレーから逃げなければ、こんな悲しすぎることにはならなかった。
今まで一緒に戦ってくれた先輩、後輩、同級生を、監督を、両親を、バレーを、みんなを裏切ってしまった。
どれだけ悔いても足りなかった・・・