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Story〜君の隣で同じ景色を見る〜

第15章 ep15 過去





その日、祝勝会の終わった夜、自室に戻るとメモに書かれた電話番号にかけた。



"もしもし・・・?"



初めて、男の子と電話で話した。



彼は私より3つ上の20歳で、友人が決勝に出るという事で応援に来ていたが、対戦相手だった私を見て、釘付けになったのだと話してくれた。


そんな事、これまでの人生でなかった私は初めて自分を好いてくれるという感覚に、胸の鼓動が痛いくらいに鳴っていた。


その日の電話はとても楽しかった記憶がある。


それから、彼は毎日のように電話してくれた。

練習終わりにご飯を食べて、お風呂に入って洗濯物を回して、

その待っている間に電話するのが、私の日課になっていた。




高校を卒業してすぐに就職した彼は色んな話をしてくれた。その一つ一つが楽しくて、私は毎日この電話をするのが楽しみだった。



それが恋だと、初めて知った。





ある日、彼は受話器越しに言った。



"俺、りこの事、好きや・・・・・"






人生で初めての告白をされた。









"俺と、付き合ってくれへん?"








私の答えは、勿論、はい、だった・・・









そしてその日の夜、初めて私は、寮を抜け出したーーー・・・














指定の場所は、コンビニの裏。



私は初めて寮を抜け出した事に、罪悪感が芽生えていたが彼が大丈夫やって、と私の肩を抱き寄せた。




"来てくれてありがとう。ほんまに会いたかった・・・"



しかし、そんな罪悪感など、彼の目を見れば消えてしまった。



この人は、私を好きだと、言ってくれた・・・



この人と私は、今日から恋人同士・・・



人生で初めてできた彼氏という存在は私を最高潮の心地にしてくれた。




私はこの人が好きで、この人も私を好き、

なんて素晴らしい事なんだろうと思った。


大好きが、止まらない。ずっと一緒にいたい。





ずっとバレーばかりやって来た私は何も分からず、ただただ彼氏になってくれたこの人の事がまだ会うのは2度目なのに好きで好きで仕方なかった・・・。
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