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Story〜君の隣で同じ景色を見る〜

第12章 ep12 願望





「ちょっ、ちょっと・・・・・・!」


「んー?・・・だめ?」



顔を赤くして身動ぎをするりこに口元を尖らせて上目遣いで尋ねてみせた。





「風邪・・・移っちゃうから・・・っ」


「移らなかったら・・・いいでしょ?」



俺、丈夫だし、とニヤリと不敵な笑みを浮かべる及川にりこは心臓が飛び出んばかりに高鳴るのが分かった。




(こういうこと、慣れてないのかな・・・)



初々しい反応が一々、

及川の心をくすぐる。



抱きしめたり、それ以上の事をしたら、


どんな顔をして自分を見るのだろう。



(あー、見たいけど、見たいけど・・・!)





及川はぎゅっと目を瞑って、自身の欲を制止した。


そして、ふっと笑うと、


「病み上がりだし、この変で許してあげる、けど・・・」



言いながら、りこの手元からカップを取り上げる。



「?」


及川の次の行動が読めずにいるりこの肩を、トンと押さえてゆっくりとベッドに寝かせる。



「今日は何日の日か、わかってる?」



視線を逸らして必死に答えを出すりこ。



「3月14日・・・あ・・・」


そこまで呟くと、気づいたようにりこは及川を見上げた。



「そ。正解は、ホワイトデーでした〜」



以前自分は、及川にチョコレートをあげたことを思い出す。



彼は他の生徒からチョコを受け取らないと言っていたから、半分諦めていたのに、わざわざ家まできて、それを受け取ってくれた。



そもそも何で自分が及川に渡したかったのを、知っていたんだろう。




(私って・・・わかりやすいのかな・・・・・・)




「で、ホワイトデーと言う事でお返しを考えてたんだけど何がいい・・・?りこがして欲しいこと、何でも聞いてあげるよ・・・」



りこの顔の横に手を付き、窮屈なネクタイを緩める。


妖艶な色気を放つ彼の瞳から、逃れることができない。




「添い寝でも、キスでも・・・何でも好きなことしてあげる」


「そ、そう言うのは・・・まだ・・・・・・」






お互いを見つめ合う時間はただただ鼓動がうるさいくらいに鳴り響いている。





「じゃあ・・・」


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