第1章 ep1 追憶
「誰だろあの子、めちゃくちゃ美人」
「転校生かな?見たことない」
「脚なげー、モデルみたいだな」
その声に振り向くと、男子生徒たちの視線は、後ろの出入り口に向けられていた。
その視線を目で追って行くとーーー・・・
(え・・・)
一般女子よりも少し高い背。すらりと伸びた脚は白く、スタイルの良さが際立っていた。
肩の上で切りそろえられた黒髪は柔らかそうで、その奥から覗く小さな顔。長い睫毛で覆われた大きな瞳、小さな唇。
可愛らしい、よりかは、美人とか、綺麗という言葉の似合う少女だった。
及川はそんな彼女から目が離せなかった。
離せなかった理由は別にある。
何故なら彼女は・・・
"徹くんっ"
「え・・・・?」
"徹くん、私ね、中学は県外へ行くって決めたよ!もっともっと強い所で、バレーがしたいから"
「りこ・・・・・・?」
小学校時代、隣のコートでバレーをしていた、りこだったーーー・・・