第9章 ep9 唯一
「どう・・・・・・?」
「ん、美味しいよ、本当に美味しい。・・・ねぇ、りこ・・・?」
唇についたソースを舐めてとり、りこの手を掴んだままの手に僅かに力を込める。
「ほんとに、俺が貰ってよかったの?」
こんな気持ちになるのは、初めてだった。
いつも誰かしらの異性は近くにいて、自分を好きだと言ってくれた。
それを無下にした事は無いし、嬉しかったが、
自分から、誰かを求めたのは、初めてだった・・・
りこに出会った日から、彼女が頭から離れない。
ただ一つ、そんな彼女の気持ちを確かめたい、
彼女の傍に寄りたい
たった一つの願いとなって、及川を掻き立てる・・・。
「・・・うん・・・・・・貰ってくれて、ありがとう」
りこの頬が赤いのは、気のせいじゃない。
及川は胸がぎゅうっとなる感覚を心地よく感じた。
マフラーも、チョコも、りこの気持ちも、全てが心地よく暖かかった・・・ーーー