第8章 ep8 勉強
「噂の美人JK・・・」
隣で花巻がひゅう、と口笛を吹く。
「テストはどうだった?ちゃんと出来たかな?」
及川が問うと、りこはニコッと笑い頷く。
「うん、見直しできる時間もあったし、大丈夫だったと思うっ、及川くんが勉強みてくれたおかげだよ、本当にありがとう」
素直に御礼を述べる彼女に、及川はドキリと心臓が跳ねた。
今日の彼女はいつもより気持ちが高揚している気がする。
よっぽどテストの出来が良かったのだろう。
「別に、俺は・・・りこが頑張ったおかげだよ、お疲れ様」
顔が赤くなるのがわかる。彼女に悟られないように少し視線をずらす。
「うん、本当にありがとう。これから練習?頑張ってねっ」
それだけ言うと、りこはそれじゃ、と踵を返す。
及川は赤まった顔を見られずに済んだことに安堵の息を漏らす。
「ふう〜ん、お前ら、仲良く2人きりで勉強してたんだなぁ〜?」
そんな及川の隣で花巻がニヤニヤと笑う。
「なっ!岩ちゃんも一緒だったし、実質2人きりじゃなかったけどね・・・」
(岩ちゃんはほとんど寝てたけど・・・)
「ふうん、で、及川君は、モテモテの美人転校生とはまだなーんも無いんだな?」
「モテモテ?」
なんだ、知らねーのか?と、花巻は首を傾げる。
「あの子狙ってるやつ、結構いるんだってよ。もうすぐバレンタインだしな、本命争奪戦、だな」
「はぁ!?何それ何なのそれ!!!!」
及川の絶叫は、昇降口中に響いたーーー・・・