第7章 ep7 嫉妬
ーーー・・・
手洗い場で話しかけてきた数人の女子生徒たちは、りこを階段下まで連れてきた。
(何で人に絡まれるのは階段が多いんだろう・・・)
とんちんかんな事を考えていると、目の前の女子達の真ん中に立っていた女子生徒が口を開いた。
「りこさん、だっけ?」
「あ、はい・・・」
「あのさ、率直に聞くんだけど、あなた及川くんの何?」
強い口調で問いただされるが、りこには困った質問だった。
昔馴染み、と言っても面倒臭い。
「いえ、特に関係はない、と思います」
「そうなの?何か及川くんのこと、随分あしらってるように見えるけど」
(あぁ、きっと避けてたから、それを見てたのかな・・・)
と言うことは、この生徒達は・・・
「及川くんはね、皆に優しいの!それに舞い上がって気取ってるの、見てて腹立つのよね」
(嫉妬か・・・)
女子特有の感情かもしれない。
自分がされていないことを他人がされると、妬ましく恨ましく思う感情。
きっとこの子達は、及川の事が好きなんだな、と感じ取れる。
(まぁ、あんだけ色々と揃ってたらね・・・)
正に、王子様キャラと言うか、色々と恵まれている、彼は本当に。
「そんな風に見られていたなら、ごめんなさい。でも私、別に舞い上がったりしてる訳じゃないの。彼のことは本当に何も思ってないし」
「はぁ?」
火に油か、他の女子達がざわつき出した。
「この子が転校してきてから、及川くんお菓子とか受け取ってくれなくなったのよ」
「そうよ、前はちゃんと貰ってくれたのに!」
(あ・・・まずかったかな?)
更にめんどくさい事になっていきそうな様子に、りこは心の中でため息をついた。
すると、
「おい、何やってんだよ」
「!!」
全員が、声のした方を向く。
そこには、りこと同じクラスの岩泉が眉間にシワを寄せて立っていた。
「い、岩泉、くん・・・」
「皆で仲良くお喋りって感じじゃねぇな。なんだ、イジメか?」
睨むような視線を向ける岩泉に、女子生徒たちは目線をそらす。