第33章 ep33 信頼
「りこ・・・」
久しぶりに彼女のきめ細かい頬に触れる。
涙で濡れてしまった頬はひんやりと冷たく、けれど少し赤らんでいた。
「ほんと、いつになっても、俺はお前に適わないよ・・・」
いつの時も、りこの見ている景色は違う。
俺の追いかける先を見つめている。
「りこには、感謝してもしきれないくらい、支えられてきたよ・・・。りこの気持ち、伝わった。
・・・大丈夫。俺、ちゃんと向こうでも頑張るから」
「私だって、徹くんがいたから・・・次に進めたんだよ。私こそ、逃げてばっかりだった・・・
徹くんには、本当に感謝してる。
諦めないでくれて、本当にありがとう・・・
だから、徹くんが違う場所で夢を目指す分、私も負けないように、教師になれるように、がんばるよ・・・」
今は別々の道に行くけれど・・・
きっとまた、同じ景色が見られると信じてる。
「りこ・・・」
確かめるように、名前を呼ぶ。
「りこ・・・」
ゆっくりとりこの頭を引き寄せる。
そして、
お互いの気持ちを、温もりを確かめるように、
静かに、
静かに唇を重ねた・・・
「愛してるよ・・・」
ーーー・・・