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Story〜君の隣で同じ景色を見る〜

第30章 ep30 進路





「ん?なに?」


「えーと・・・もうすぐ期末テストだね、大丈夫そう?」



単刀直入に進路の話をするのは気が引けて、全然思い出したくないテストの話題をふる。



「ちょっと・・・人の心配するなんて、今回は随分余裕あるんじゃん?」


案の定、りこより成績優秀な及川に笑われてしまった。




「う・・・今回も、勉強お願いします・・・・・・」


「あはは、素直だね、ん、いいよ。テスト来週からなのに、いつお願いしてくるのかと思った」



それは最近、進路の事で他大学へ行ったりして忙しそうだったからとは言えなかった。


彼なりに今もきっと、悩んでる。



引く手あまたなのはいい。けれど選択肢が多いということはそれぞれの可能性も見い出せる。


実業団に行けばプロとして注目され、


大学に行けば、バレーとともにゆっくりと自分のやりたいことを見つけ、資格だって取っていける。



あとは、バレーのレベル。

自分がどれ位のレベルで今後バレーをやりたいのかによるんではないか・・・





以前、強いところでバレーをやりたいと、宮城を飛び出していった自分が懐かしい・・・








「進路は・・・どう?決まった?」



親に、監督に、最近耳にタコが出来るくらいに聞いているであろう言葉を口にする。



案の定、ん〜と喉を唸らず及川。


まだ、決めかねているのかな。




「私は教師になりたいって思うから大学に行くけど、徹くんは何かやりたいことって、ある?」


「ウシワカ野郎をぶっ潰すことくらい思い浮かばない」



それを聞いて苦笑いをする。


彼も、どこかの実業団からお呼びがかかっているだろうな。


(こないだの烏野と言い、本当に宮城のバレーはレベル高い)





「ウシワカくんは、きっと実業団に行くんだろうね。何となくだけど」


「それっぽい噂は聞いたけど・・・・・・・・・でも俺は」



「俺は?」



その次の言葉を待つ。







「大阪からスカウトされてる大学に行こうと思う」



「え?大阪?」



りこは目を丸くする。

こくんと頷く及川。逆光で上手く表情が読み取れない。






「実業団・・・プロとして高い所でやりたくないの?」

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