第30章 ep30 進路
出来ることなら、同じ宮城にいて、これからも時間があれば、一緒にいたい・・・
となれば、青城の歴代の先輩たちと同じ、あの大学にしようか・・・
「んん〜〜〜〜!!」
考えることが山ほどあり、及川は枕に突っ伏した。
ガラッ
「徹どうしたんだよ!かき氷食いすぎて頭いてーのかー?!」
「猛じゃないんだからそんな事ある訳ないだろ、バーカバーカ!」
ーーー・・・
その夜、りこから帰ってきたとメッセージが入った。
お土産があるから届けに行くと行った彼女に、もう夜は遅いからと自分から行くと伝えた。
彼女の家のインターホンを鳴らし、少ししてりこが玄関に現れた。
「ただいま、徹くん!」
手に白の土産袋を持ちながら、自分にぎゅっと抱きつくりこ。
ゴールデンウィーク合宿から帰ってきた日に、初めてりこと繋がった。あれから2人きりの時は、うんと甘えてくれるようになったりこ。
可愛くて、前よりももっと好きになっていると実感している。
「おかえり。どうだった?」
彼女を優しく抱きとめ、それからよしよしと頭を撫でて尋ねる。
「先生、元気そうだった。ちゃんとここでマネージャーしてる事もね報告できたし、頑張れって言ってくれた」
彼女の顔を見ればわかる。
前へ進んだと。行って良かったと言っている。
(再会する度に、雰囲気変わるよね・・・)
だから夢中になる、彼女の新たな魅力にみせられるから・・・
「徹くん、私ね・・・大学に進学して、教員免許、取ろうと思うの」
(やっぱり進学か・・・)
「うん、で、どこの大学行こうと思ってんの?」
「大阪。」
大阪!?と及川はパッと体を離し、りこを見つめる。
「うん。先生も、そこならバレーも力入れてるし、いいぞって。オープンキャンパスしてたし、ちらっと見てきちゃった」
なんと。彼女は恩師に話をしに行っただけでなく、自分の将来についての意思も固めてきたらしい。
及川は胸のざわつきを抑えきれずにいた。