第4章 ep4 記憶
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帰宅し、風呂と夜ご飯を終えると、及川は自室に向かい押し入れの中からアルバムを取り出した。
(確かこのアルバムだったはず・・・)
白いアルバムをめくっていくと、そこには小学校時代の及川や岩泉の写真が所狭しと飾られてあり、満面の笑みを浮かべていた。
(うわー、この頃の岩ちゃん黒いな。焼き魚みたい)
1人で吹き出しながら、及川はお目当ての人物の映る写真を探した。
(いた・・・・・・)
それは、市内大会で、及川たちのチームがアベックで優勝した時の写真だった・・・
大きな優勝カップや、賞状を両手で持ち、満面の笑みを浮かべて座る岩泉、その隣に及川、そしてその隣に・・・
「りこ・・・・・・」
無意識に名を呼び、無意識にそっと写真を指で触れる。
(2つ結びしてる、可愛いな・・・・・・)
小さなユニホームに身を包む子供たち。りこは無垢な瞳でカメラを見ており、同時に今の及川にも向けられているような錯覚を覚える。
この瞳は、今も何も変わっていない。
大きくて、綺麗な瞳・・・
しかし、今のりこはあの頃と何か違う・・・
どこか不安そうで、寂しそうで、悲しそうで・・・
何かを、諦めたような・・・
そんな気がした。
そんな様子の彼女だから、
(近づきたく、なるんだよね・・・)
儚くて、今にも消えてしまいそうな瞳で見つめるから、
側に寄りたいと。
しかし、
"避けられてる以上こっちから無闇に絡みに行っても、逆効果だとは思うがな"
岩泉の言葉を思い出す。
(わかってる・・・・・・)
だけど、
(俺はあの子に近づきたい・・・)
そう思うのには、明確な理由がある事を、及川は何となく分かっていた。
それは・・・
「初恋、だったからだろうね・・・」
りこが・・・。