第27章 ep27 迎朝
「うん、4時半くらい・・・・・・」
時計を見やって答えると、りこは少し黙り、そして彼女の体が僅かに震えているのを感じて、少し体を離した。
「どうしたの・・・?」
見ると、りこの瞳は潤んでいて、けれどとびきり笑顔で及川を見つめた。
「初めて・・・・・・好きな人と朝を迎えられる・・・」
今までことが済めば、用済みとばかりにひとりで寮へ帰って、温もりのないベッドで眠っていたから・・・。
愛しい人と共に朝を迎えることが、りこにとって憧れだった。
「泣き虫だな・・・りこは。心配しなくても、これから何度も、一緒に朝を迎えよう。もういいやって言っても、俺の腕の中に閉じ込めるから」
初めて好きになった子
初めて自分からアプローチした女の子
初めて自分から抱きしめ、キスをした女性
初めて告白した女・・・・・・
「お前は俺の初めて・・・沢山持っていってるよ」
「え・・・?」
「こーの、恋泥棒っ」
りこの首元をくすぐる。
「きゃっ、ちょ、なにっ・・・」
狭い布団の中で、暴れ出す。
初めて迎える朝・・・
隣には好きな人
幸せで幸せで、
そんなふたりを、うっすらと明るくなってきた空が見守っていたーーー・・・