第27章 ep27 迎朝
ぱちんと、目が覚めた。
頭がスッキリしていて、薄暗い部屋の中で、自分は裸で、そんな自分に抱きしめられるように眠るりこがいる、その状況を瞬時に理解出来た。
(初めてりこを抱いた・・・)
結構濃厚に堪能させて貰った。
自分の与えること一つ一つに丁寧に反応してくれて、相当敏感なのが分かる。
初めて知った部分・・・
りこが愛した人にしか見せない、"女"の部分だった・・・
(てか・・・もう夜か・・・・・・母さんたちは?)
りこが起きないように、そっと枕元のスマホを手に取り、画面をつける。
母からのメッセージ。
"これから〇〇さん家で二次会!帰りは明日になるから、冷蔵庫のカレー食べてねー!"
出た。呑んべぇ2人のお決まりコース。
飲み会の後はいつも誰かの家で二次会。朝になれば2人で酔っ払いの体で寄り添うように、文字通り支え合いながら帰ってくるいつもの光景。
(大体そんな予感はしてたよね・・・)
まぁ、もし帰ってきて、この状況を知られたって、昔から知ってるりこの事を、嫌がる両親ではない。
今度は昔馴染みのりこじゃなくて、彼女としてのりこが、これから家を出入りするんだ・・・
(本当に・・・俺の彼女なんだね・・・)
この腕に確かに感じる愛おしさ・・・
やっと一線を超えられた気がする。
「ん、・・・・・・」
長い睫毛が震え、うっすらとりこの目が開く。
「徹、くん・・・?」
「りこ・・・体痛くない?大丈夫・・・?」
あれから、リビングでも、お風呂でも、帰ってきてまた布団の上でも抱いた体。
衝動を抑えられなかった自分が悔しいが、もう、満足、の一言だった。
「ん、何か・・・筋肉痛みたいな感じ・・・・・・」
「ですよね、・・・もう、ご馳走様でした」
もぞもぞとりこの前で、片手で謝罪するようにした。
その手をりこは取り、指を絡める。
そして胸に擦り寄ってくる甘えた仕草。
「朝・・・・・・もうすぐ?」
顔の下あたりでりこの声が聞こえる。