第6章 *差し込むヒカリ*
誰もいなくなった廊下を小走りで駆けて行く。
向かう先は愛する人の部屋。
今日、ルイが孤児院出だと伝えられ、国民たちはこれからもルイを時期国王候補として認めてくれると言ってくれた。
私の手には丁寧な字で書かれたメモ帳が握られている。
「今夜、俺の部屋に来て欲しい
Louis Howard」
それだけ書かれた手紙を集会の後にメイドさんから渡された。
たどり着いたルイの部屋の前で乱れた呼吸を落ち着けて、扉を叩いた。
「ルイ…いる…?」
返事の変わりに扉が開かれ、「入って」とルイに促され、私は近くの椅子に腰掛けた。
「ユイ、単刀直入に言ってもいい…?」
「…うん、何?」
「ウィスタリアを出ていく話、もう一度考え直してくれないかな?」
「えっ…」
「俺はこれまで孤児院出だと伝えて国民の不安を煽りたくなかった。孤児院出だと隠してでも国を繁栄させて信頼得たらそれでいい。そう思ってたのかもしれない」
「うん…」
「でもね、ユイ。それは違ったんだ。本当は孤児院出だと伝えて国民から、周りから拒絶されるのが怖かっただけだよ」
そんなことない。そう言いたいけれど今は言うべきではないと口をつぐんでルイの話にしずかに耳を傾ける。
「だけどユイには隠し事をしてなくてもほかの人達に隠し事をしてたら結局はユイに重りを持たせちゃってるのと一緒だって俺はやっと気付いた。隠し事をして国を治めていけるほど国王は甘くないって事も」
「だから俺は今日皆に真実を伝えることにしたんだ。だからね、ユイ。ありがとう」
「えっ…私…?」
急に出てきた自分の名前の意味がわからずルイに問いかけると、ルイは優しい笑みを浮かべて言った。