第6章 *差し込むヒカリ*
(ちょっと…待って…ここでは私が亡くなったって伝えるんじゃ…)
「な…っ…ルイ様が孤児院にいた…?」
「初めて聞いたぞ…そんな話…」
そんな私をよそに周囲がざわめきに包まれる。
確かにルイは何の話をするかは言っていなかった。
でも、ルイを助けるつもりで隠した事実が本人の口から語られるなんて思ってもみなかった。
「ごめん…急にこんな話をして戸惑うのも無理はない。俺は孤児院で育てられて、物心ついた頃にハワード家の養子として迎えられた」
公爵という位置についてからはこの事実を国民に話そうとはしなかった。
時期国王候補になっても、いつか言わなければ。と思いつつずっと言えずにいた。
だけどもう隠すのは止める。今まで隠していたことを謝罪する。本当に申し訳ない。
ルイが頭を下げて訴える。
「プリンセスは本日体調が優れないため、ここに一緒に立つことは出来ないが、俺がプリンセスと必ず国民を幸せにすると誓う。俺を、国王にしてはくれないだろうか」
涙が出そうになるけど、今は私が泣く時ではないと必死に我慢した。
「ですが…この国だけの問題ではないでしょう。近隣諸国がどう思うか…」
官僚の一人が声を上げる。
でも、ルイは怯まずにこう告げた。
「各国には俺から手紙を出した。ウィスタリアとの交流は引き続き行っていきたいとの返事を頂いている」
次に声を上げたのは国民の一人だった。
「俺はルイ様を信じてるぜ!ルイ様とプリンセスについて行く!」
「そうよ!昔の事はいいのよ!今は立派な時期国王様なんだから!」
その言葉を合図にしたかのように、庶民から騎士団の人達まで、あちらこちらからルイを信じるという声が飛んできた。
「まぁ…国民と各国の了承が得られているのなら…」
と官僚たちも頷く。
「みんな…ありがとう」
ルイは涙を滲ませ、心からの笑顔で、そう言った。
ルイは本当の意味で時期国王になった。