第6章 *差し込むヒカリ*
「こちらです」
私が案内されたのは、謁見の間の玉座の隣にある椅子だった。本来ならばその場にいる全員が見えるであろう場所なのだが今日はカーテンが下ろされ、私の姿は誰にも見えない。
「ユイ様、私はこれで失礼しますが近くにおりますので何かあれば直ぐに呼んでくださいね」
「ありがとうございます…」
ざわめく心を落ち着かせるためにゆっくりと椅子に腰をかけ深呼吸をする。
すると、カーテンの向こう側から声が聞こえてきた。
「こんな急に国民を集めるなんて何かあったのか?」
「官僚の方も騎士団の方も皆集まっているみたいだし…心配ね…」
国民たちは知らないけれど自分のせいでこんな心配をさせてしまっている事に心がチクリと痛む。
ふと、その場の空気が変わり、辺りが静寂に包まれた。
────コツ、コツ
(ルイ……)
ルイが姿を現し、玉座の前で立ち止まる。
「今日は突然皆を集めてしまって申し訳ない。だが、とても大事な話だ。聞いて欲しい」
決意を滲ませたルイの声に、その場にいた全員が黙って次の言葉を待つ。
「実は────
(これで…私のおとぎ話は、終わり)
「俺は、生まれた時から貴族だったわけじゃない。元は孤児院にいたただの庶民だ」