第6章 *差し込むヒカリ*
〜ユイside〜
今日は雲一つ無い快晴。
扉の向こうからは朝からバタバタと慌ただしい足音が鳴り響いてる。
朝食もいつもより早かった。
そっとカーテンの隙間から外を見ると、門の外に国民が列を成していた。国民には、「国王から急遽皆を集めて話したいことがある」
とだけ伝わっており、これから謁見の間へ通されるらしい。
私にも、他の誰からも見えないところに席を用意していると朝食を持ってきたメイドさんから話を聞いていた。
コンコン──
「ユイ様、お着替えの時間です」
「あ…はい、どうぞ」
今日は人に見えないといえど、国王からの大切な話という事で私も正装をする事になっていた。
三人のメイドさんが入ってきて私の身支度を整えてくれる。
「プリンセス、お綺麗ですよ」
「ありがとうございます…」
着替えが終わり、ドレスに身を包んだ自分の姿が鏡に映し出される。
「では、私たちはこれで失礼致します」
二人のメイドさんが会釈をした部屋を出ていき、残ったのはあの日、私の居場所を作ると言ってくれたメイドさんだった。
「ここからお席までは私が案内いたします。他の者はもう謁見の間にいますので誰にも会うことはありません。ご安心ください」
そういえば先程まであんなに足音が響いていたのに、今はしん…と静まり返っている。
「さあ、行きましょう」
「はい…」
差し伸べられた手を取って、歩き出そうとするけれど、自分の足は歩きたくないとでも言うように、思い通りに動かない。
それでも
(もう人に頼るのはやめる。涙なら沢山流した。みんなが覚悟を決めているのな私だけ決められないでどうするの)
そう言い聞かせ、足を踏み出した。