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【イケメン王宮】氷の魔法にかけられて

第5章 *君が笑わない世界*


〜ルイside〜


「本日の公務は終了となります。お疲れ様でした」


やっと終わった。いつもより5倍時間が経つのが遅かった。


「ルイ様、この後はお部屋に戻られますか?でしたらユーリに紅茶を持っていかせますが…」


「今日は大丈夫。少し用事があるから」


「かしこまりました。早めにお休みになられてくださいね」


「ありがとう、ジル」


執務室を出て足早にユイの部屋へと向かう。
この状況でいい話とは思えないが、それでもあまり悪い話ではないことを願って、扉の前に立ち、ノックする。


「ユイ?俺だけど…遅くなってごめん」


「ううん…大丈夫。私こそこんな時間に呼び出してごめんね…入って」


ユイはそう言って扉を開いた。


(え……)


1ヶ月ぶりに聞くユイの声。
ユイの姿。
以前よりも少し痩せたように見える。
でも俺が驚いたのはそこじゃない。今まで話しかけても扉を開けることは絶対に無かったのだ。


(ユイの体…震えてる…)


「俺、外で聞こうか…?」


「大丈夫…自分の意志に関係なく体が震えちゃうだけだから」


「そう…」


体が震えているの確かに俺に怯えてる証拠だ。そこまでして部屋に入れるといることはあまり聞かれたくない話なのだろう。
ユイはベッドの上に座り、俺は少し離れた椅子に腰掛けた。


「話って何…って聞きたいところだけど、先に少しいいかな」


「うん…何?」


「リアム王子が…亡くなったよ。病気を抱えてたらしい」


「…っ…そっ…か…」


思っていたよりも冷静だった。
もっと安堵するか、何かで驚いた反応をすると思ったのに……


「病気の事、知ってたの?」


あんまり思い出させたくはないけど、その問いかけは勝手に口から出ていた。


「本人から聞いたわけじゃないけど、何となく、人に言えない何かを抱えてるんじゃないかと思ってたから……」


ユイはいつでも人のことをよく見ている。
それが、どんな状況であろうと無意識にそうしているから人を憎むこともできない…


「俺の話はこれだけだよ。ユイの話って……?」


これ以上喋らせてはいけないと思い、咄嗟に話の内容を変える。


「うん…あのね…その…」
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