第24章 HAPPY? (逆ハー)
「喧嘩よりする事があるだろう」
「…ああ」
ダンテは何かを思いついたようにぽん、と手を打つ。
くるりとに向き直り肩を掴むと、真剣な表情で見つめてきた。
「え…何?」
ダンテの隣にバージルも並ぶ。ダンテの不意の表情に戸惑い彼を見るが、いつものように整った無表情。
その形のいい唇が開く。
「…くれたのなら、食べさせてくれるのだろうな?」
「は?」
「食べさせてくれんだろ?口移しで。そう決まってるもんな」
「いや決まって…え?」
そんな馬鹿みたいな話、騙されるわけもない。そう思っているのに、二人の無言の威圧がの口を閉ざす。
いつの間にか、背後は壁際だった。
「どちらかが先では気が済まない。同時はどうだ」
「それって下手すりゃ俺とあんたが事故起こすぜ」
「それも嫌だ。では俺が先だ」
「なんで」
「兄だからに決まっているだろう」
「弟に譲れよ」
「嫌だ」
「なら二人同時か」
「それも嫌だ。俺が先だ」
「二人同時ってあんたが先に言ったんだろ」
逃れる術はないのだろうか。
確実不可能だという証に二人に前を塞がれながら、は息をつく。
バレンタインてこんなものだったっけ、と虚しい問いが頭をよぎった。
2008/02/14