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【DMC】バージル夢短編集

第21章 神か悪魔か 2 (軍隊パロ)



「やる気はあるようだな」

「そんな事ありません」

「意地を張るな」

ゆっくりと身体を背もたれに預けるバージル。
きっちりした軍服は皺ひとつ汚れひとつ付いた事がない。

綺麗なアイスブルーの瞳が私を見つめて、ただそれを受けて。
試されているような静寂の後、バージルは机の辞表に触れた。

長い指が、封筒を持ち上げる。両手でつかむ。縦の封筒を横向きに持ち、その真ん中に両手指を当てて。
縦に破いた。

「…………」

動きをじっと見ていたくせに、私はすぐに反応できなかった。
ぽかんと口を開けて、バージルが破いた封筒を更に破いて4等分にするのを見ているしかなかった。

その4等分の辞表が机に放られるのを見て、ようやく。


「…何してんですか」

「辞表を破いた」

「見ればわかります」

「戻って戦闘準備を進めろ」

「…っだってそしたらまた私特攻隊長じゃないですか!嫌だから辞表出したのに」

バージルは、形のいい眉をひそめて私を睨んだ。
ぴりっと空気が緊張する。
冷たいものを深くに潜ませたような何かが、私を撫でて。


「鈍い奴だ。俺がお前を必要としているから辞表の提出を許さない。総司令官として適切だろうが」

「だとしても…!」

「お前の腕は信頼している。俺の部下である事にも誇りに思っている。それなのにわざわざ手放す事はあるまい」

彼にしては珍しく褒めているのだと気付いて、私は戸惑ったようにアイスブルーの目を見つめる。

確かに彼の、最も信頼され期待されているバージルのもと司令を受けて動くのは、私にとっても誇りだった。
命じられた通りに動くのが一番効率的だと知っているからこそ、バージルの手足となって動いているのが嬉しかった。

ただの我が儘を、私は言っているのだろうか。
自分勝手な都合で、辞めたいと言ったのだろうか。
わからなくなる。


バージルはひたと私を見据え、人の上に立つ者の余裕なのかゆったりと言った。
まるで信じているように。

「行け。俺を失望させるな」

決心は惑い躊躇い、砕かれた。




2009/07/31
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