第39章 病
「というわけで、行ってきます」
「何がだ」
「友達と遊びに」
誘いの電話が嬉しくて、受話器を置いた後に笑顔でバージルに言った。
対するバージルはなぜか顔をしかめていて。
それもそのはずだ。
受話器から僅かに聞こえた声は低い男のもので、なのには嬉しそうに話していて。
「男か」
「へ? はい」
ビリッと硬い空気が走る。
は不思議そうにきょとんとしていて、それに更に顔はしかめられ。
「信用していいのか」
「何がですか?」
「その男だ」
「周りからの信頼は厚いですけど」
そういう事じゃない、と言いたかったが。
こうにもが気付いていないと、自分が器の小さい男に思えてくるわけで。
だからといって行かせるのも嫌で。
しばらく考えた末、ある考えを思いついたバージルは。
「行ってこい」
と言った。