第35章 数
「負けているつもりはなかった。ただ、俺のに触れた者がいると思うと憎らしくてな」
「今はバージルが触ってるからいいでしょ」
「そういう問題ではない」
そう言うとバージルはを離してソファに座り直させ、立ち上がった。
「何か飲みたいものは?」
「アイスコーヒー」
「わかった」
キッチンに歩いていくバージル。
その背中を見ていたは、口を開いた。
「口付け祭りはもう終わり?」
「祭りとは何だ。…そうだな、気が削がれた」
「ちなみに何回したの?」
「28」
「……そう」
「まだしてほしいか?」
「唇ふやける」
視線をそらす。その表情は、少しだけ嬉しそうだった。
一日という区切りで限定すれば、28回というのは最高記録だろうけど。
絶対に教えてあげない、とは思った。
2007/03/31