第34章 波紋
「」
ソファで雑誌をぺらぺらとめくり、流行のファッションをチェックする。
彼女の背中に声がかけられた。
―――……
「…何?」
振り向かず答える。自分でもわかるくらい適当な返事。
雑誌見てるんだけど。わからない?
バージルはそんな彼女の様子に気分を害した様子もなく、いつもの無感情な声で言った。
「出かけてくる」
は眉をひそめた。
ああ、そう。どうせ書店でしょ。
書店言って2時間くらい潰して、帰りに買い物行って1時間。
帰ったら丁度夕方、夕飯時。夕食を作りに今度はキッチンに引きこもり。
最近ずっとそればかりだ。
読めたパターン。変わり映えのない1日。
いつしか、二人でいる時は必要な事しか話さなくなった。
―――つまらない…
本当に、つまらない。
望んでいたのはこんな生活だった?
バージルといてあんなに幸せだった日々は、夢だったの?
たまには、夕飯外で食べようとか、映画見に行こうとか。
そういう事、言って欲しい。
そう考えて、ふっと笑った。
バージルのせいにしてる私。バージルのせいじゃないのに。
バージルが言わないなら私が言えばいい。だけど。
―――いつから、言えなくなったのかなぁ…
一緒にいすぎて本音が言えなくなるなんて、あり得ないと思ってたあの日は遠い。