第33章 一枚の幸せ
やっぱりバージルは格好いい。
世界の誰よりも。
私をこんなに嬉しい気持ちにさせてくれる人、他にはいない。いるはずがない。
そんなバージルを自分が嬉しくさせてあげられるのだと思うと、誇らしくなった。
その時、機を得たとばかりにシャッター音が響く。
しかし二人はそれに気付くことがなかった。嬉しそうなと、その彼女の頬に触れて愛しそうにほのかに笑むバージルは、声を掛けられるまで変わらず微笑み合っていた。
幸せそうに、幸せそうに。
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後日。
雑誌には、互いに幸せそうに微笑み合うバージルとの写真が、1ページに大きく掲載された。
は飛び跳ねて嬉しそうにしていたが、バージルは決してその雑誌を見ようとはしなかったという。
2006/02/11