第27章 怖がられる理由 (ほんのり逆ハー)
不機嫌そうなバージルを見遣るダンテ。その目はバージルが行かないであろう事を確信していた。
それを見てバージルは更に腹が立つ。
とダンテで出かけるだと。許さん。
「賭けだ」
バージルは言う。
「ゲームで負けた方が家中の掃除を一人でやる」
「え、私入る?」
「は入らん。いつも美味い食事を作ってくれているからな」
「いや…バージルほどでは…」
誉められ照れる。まあ正直、ゲームで彼らに勝てる自信がなかったのでよかった。
その横で、バージルと睨み合うダンテ。
売られた喧嘩は買うとばかりに瞳が輝きにやりと笑う。
「いいぜ。やってやるよ」
余裕が見え隠れしている。
バージルはゲームセンターには行かないのだ。そんな初心者と自分とでは勝敗は明らかだと思っているのだろう。
返答を聞いて早速バージルが立ち上がった。キッチンと戸締まりのチェックをしに行く。
それを横目に残りの紅茶を口に運ぶ。
紅茶を飲み終えグラスをテーブルに置くと、不意にダンテが目線を合わせるように屈んだ。
「俺が勝ったら俺にキスな」
「何でよ!」
「御褒美に」
「この閻魔刀でいいのなら今すぐにくれてやろう」
「どわ!」
低い声が響いて飛び退くダンテ。
キッチンから戻ったバージルが刀を手にそこにいた。
はそこで気づく。
ああそうか。
ダンテは子供と話す時視線を合わせて屈んでるけど、バージルは屈んでないんだ。
背の高い大人と子供。自然に大人側が見下ろす形になる。
それだけでも子供にとっては威圧感があるのに、バージルは更に目付きがきつい。
だから子供が怖がるんだろう。
───双子なのにね。
しかし最大の要因は精神年齢の差だろうな、という気がしないでもない。喧嘩が始まりそうな二人をなだめ、外に押し出す。
ぬるい風が吹いて髪を揺らした。
そしてダンテは、なぜか滅茶苦茶強かったバージルにこてんぱんに叩きのめされたのだという。
2007/07/27