第27章 怖がられる理由 (ほんのり逆ハー)
ダンテはよく子供に好かれる。外を散歩していると近所の子供に絡まれて、サッカーに付き合ったり話相手になったりしている。
対するバージルは、よく子供に泣かれる。
彼自身泣かせようとしているわけではないのに、会って数分のうちに突然子供が泣き出し、バージルは困ったような顔をする。
「何でだろうなぁ…」
二人とも優しいのに。
感情がすぐに表に出るダンテと出ないバージルでは、表現の仕方が違うが、優しさに変わりはない。
「飲むか?」
不意にバージルの声。
ソファに寝そべっているが首をめぐらせると、キッチンでバージルが紅茶を注いでいた。
「飲む!」
は即座に答える。
バージルの淹れた紅茶はどこよりも美味しいのだ。
素早く反応した彼女にバージルはおかしそうに笑むと、もうひとつグラスを出した。
やがてバージルが紅茶に氷を入れて持ってきた。
は身体を起こして座り直し、紅茶を受け取る。
「こぼすなよ」
「大丈夫」
ひんやりとしたグラスにしばし手を当てて冷たさを楽しむ。
最近めっきり暑くなり、もう本格的な夏を予感させていた。
一口飲んで、思わずため息。本当に美味しい。
すると。
「ー!!」
バタバタとダンテが階段を駆け降りる音。
バージルの目が細められる。説教が飛ぶ合図。
ダンテが何かチラシを持ってリビングに現れ、同時にバージルが口を開いた。
「貴様は階段を壊す気か。駆け降りるなと何度言えばわかる」
「違うんだよ見てくれよこれ! あったらしいゲーセン!」
バージルの眉間の皺が深まった。
「ちょー面白そうなの! 一緒に行こうぜ!」
「いい、けど…バージルは?」
「え? バージル行かないだろこういうとこ」