第3章 こんな私でも。 [忍足謙也]
「さん!好きや!俺と……付き合って欲しいんや!」
「え?」
目の前に顔を真っ赤にして手を差し出してきているのは我が四天宝寺中学校テニス部のイケメン忍足謙也だ。
なぜ?こんなイケメンが私に?
だって私はモデルさんみたいに細くて身長が高いわけでもなく、髪の毛はどこかのCMでやっているようにサラサラなわけでもない。
150cmあるかないかのチビだし、天然パーマのボサボサの髪の毛、そしてこのお腹や二の腕、太ももについたぜい肉たち……。
要するに私はデブなのだ。
イケメンだし、大人気のテニス部レギュラーの忍足くんなんだからもっとほかにカワイイ子に言い寄られたりしてそう。
それに私は忍足くんと接点がない。
同じクラスでもないし話したことすらないなのに……
「俺、さんのことずっと見てたんやで?
気づいてなかったんか……」
少し悲しげな表情でうつむいている謙也くん
その表情は反則だよ!
「あの、見てきたって…いつ見てたの……?」
ちょっとポカンとした表情を浮かべた後万遍の笑顔で
「食堂や!さん、お昼になるとよく食堂でお昼食べとるやろ?その食べとる姿がたまらなくかわいいんや!!!」
「かっかっかかかかかかかかわいいいいい?!?!」
自分の顔が真っ赤になっていくのがよくわかる。
かわいいなんて人生ではじめて言われたよ。