第5章 闇夜の調べ
「全く、その自信はどこから来るんだい?……これでも随分とマシになって、少しは君の傍にいても正気でいられると思ったんだが、そろそろ限界だ。」
そう言って、苦しそうに笑うハイデスさんが何の話をしているのか、私にはよくわからなかった。でも真剣なその瞳が、私のことを想ってくれているのだという事だけは、よくわかった。
「すまない、こっちの話だ。ただ、アンリ……これだけは聞いて欲しい。」
「なん、ですか?」
「……愛しているよ。」
跳ね上がる心臓に待ったをかける間もなく、再び深く口付けられた私は、その言葉に何を返せることもなく、この熱に溺れさせられていく。
ハイデスさんは、私からの言葉を求めようとしてこない。ほんの少しズルいなとも思うが、そうして流され続ける私も、随分とズルいのかもしれないと思った。
しかし、何も考えさせなくするような、そんな口付けに私は身を任せるしかなかった。
同時にゆっくりと体をまさぐり始める手に、体の芯が熱くなってくる。
胸元を撫で、細いリボンを解いては、そのまま器用にボタンが外されていく。少しひんやりとした部屋の空気に、この熱を尚更意識させられるようであった。下着を外されると、大きな手が私の胸をゆっくりと揉んで、ドキドキとしたこの気持ちを高めていく。そして指先が、冷えた空気に晒されてツンと尖った先端を、そっと掠めた。
「、っん…ふ…、」
深い口付けの合間から、甘いものが漏れた。すると、もっと聞かせて欲しいとでもいうかのように、それはくるりと円を描いては、焦らすように小さな突起を擽った。
そんなむず痒いような刺激に、腰が引けそうになるが、逃げ場なんてないこの場所で、私は求められるままに甘ったるい声を上げるしかなかった。
「、……かわいいね、アンリ。本当に、かわいいよ……君を見るたびに、その声を聴く度に、私はこうしたくて堪らなかったんだ。」
耳元で囁かれる、熱っぽい言葉にどうにかなりそうだと思った。擽るような刺激が、そっと先端を撫でるようなものへと変わっていく。