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私を愛したモノなど

第5章 闇夜の調べ



「っ、クロヴィス卿!!何故ここに!?」

「いやはや、部下から我が屋敷に急な御来客があると報告を受け、私自ら早馬を走らせ出向いたのですよ。間に合ったようで良かった。まさかこのような場所へ、第一騎士団団長様である貴方様が態々お越し下さるなどと私も夢にも思ってはおりませんでしたので対応が遅れてしまいましたこと、大変申し訳なく思っております。」

さり気無くジェイドにも目配せをしつつ、ハイデスはこれ以上ない丁寧な声色で受け堪えて見せた。

「そ、そうか……ならば、良かろう!寧ろ貴様が来たのならば私とて寧ろ都合がいい!国王陛下のご命令でこの屋敷内に天女、天使に関する情報が無いか探せとのご命令だ。まさか断るとは言わせぬぞ。」

これはまた、随分とストレートな理由で今回の調査は行われたのだなと思ったが、ハイデスとしては寧ろその方が都合が良かった。

「なるほど……そうでしたか。確かに、一向に進まない捜索に痺れを切らすのは私共も同じ気持ち。内部を探すとなれば一番怪しいとされる我が屋敷へ兵を出すのは国王陛下も最もな判断であられましょう。どうぞ、お気に召すまでご確認下さい。」

冷静さを保ち、ルシスが掛けた結界に触れれば、それは何てこともない、黒魔術の力を一定量流し込めば簡単に明けられる仕組みであったが、個人が石に貯め込み持ち出すには無理な量のそれは、確かに黒魔術師を一人か二人用意しなければ開けられない仕組みであった。
何時もの様な難解なものを残されていたらどうしようかと、一瞬冷や汗をかいていたハイデスは気が付かれぬよう心の隅で肩を撫でおろしていた。
少しの鈍い金属音を響かせて大きな門が開いていく。それと同時に、少し離れた場所からハイデスの様子を窺っていたエルメスを呼び寄せた。
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