第2章 1 箱庭
何も考えられなくなった頭でぼんやりとあられもない姿の自分を眺める。
汗と、出された液とでぐちゃぐちゃになった体にはまだ無数の触手が張り付いたままで、痺れるような快感は続いている。
「あぁあ…っぁあ、んあ、あっぁっ」
力無く漏れる声が私の頭に響く。
まるで脳みそが溶かされたみたいに気持ちいいしか感じなくて、触手が抜かれた膣からは出された液と私の蜜が混じって流れ落ちる。
刺激がなくなったソコが寂しいとヒクヒク動いた。
代わりにとでもいうようにクリトリスに張り付いたままの触手がその刺激を強くする。
「ぁあぁああっ!」
再び潮を吹いて全身が仰け反る。
いつまで続くのか、この時間が永遠に続いているような気がして自分が何をしていたのか分からない。
私はもう、ただ感じて喘いで愛液を流すだけの人形みたいだった。
グパッと音がして足元にぽっかりと穴が現れたことに気が付いたのは足が呑み込まれ始めた時だった。
あぁ、私死んじゃうんだ。
かろうじで考えたのはその程度のことで、逃げなきゃとか嫌だとかはもう分からなかった。
呑まれていく……
飲まれた先にはそれこそぐちゃぐちゃに絡み合った触手が蠢いていて、足先から絡み付いて私を引きずり込む。
ズルズルと時間を掛けて怪物に喰われていく体を眺めながら、意識が遠退いていった時、突然大きな衝撃が走り、ぐらりと視界が揺れた。
「キミ、大丈夫?……じゃあ、ないよね」
キラキラと揺れて光る金色を視界に捕らえた。
ぼんやりとした世界に、宝石みたいに光輝くものが現れて、何か声がするけどそれを聞き取ることは今の私には出来なくて。
何だろう、すごいキレイ。
そう思って、私は意識を完全に手放した。