第15章 こころのきもち (学パロ)
…見てる。
みんな見てる。私達を。
女の子からの痛い視線を浴びる私と、女の子からの熱い視線を浴びる私の彼。
ダンテ。
「ムカつく…もっと離れなさいよ!」
「いつ見ても不思議だよ…」
「何でダンテがあいつなんか。いくらでもいい女がいるのによ」
「はは、本当にな」
聞こえてんだけど。ひそひそ話なら、よそでやってくれない?
せめて聞こえないように、とか考えないのかな。
ダンテにいらない心配をかけたくなくて表面は平然としてるけど、私は心の中で息をつく。
心中で一応文句は言ってみるものの、これは仕方のない事だと彼女自身よく理解していた。
彼…ダンテは、男も女も誰もが振り返って目を疑うほどの美形だ。
本当に男の髪かと思うくらいの、さらさらで繊細な銀髪。人間ならざる黄金比率の顔立ち。
髪と同じ銀のまつげに縁取られた対の瞳は、水面にひたしたように澄みきって。
それを、長身と服の上からでもわかる体格の良さが引き立てているのだ。
まさに完璧。
欠点がひとつも見えない容姿。
それ故に初めは皆彼を敬遠していたが、とても人当たりがよく性格の明るいダンテは、すぐに学校中の人気者になった。
おまけに女の扱いがやけに上手いのだ。
ファンクラブまであったり、毎日告白されるほどのモテ男でもある。
対しては、ごくごく平凡な女の子。
どう考えてもおかしい。自身もたまに思う。
どう見たって、とダンテは外見が釣り合っていない。だから、これは仕方のないことなのだ。
は、耳に幾つも入る陰口にうつむいた。
少し目を動かせば、の手をしっかりと握るダンテの手。
女の子全員が、その大きな手に触れたいと願っているのだろう。それを、こんな私が独占してていいのだろうか。
…何かなぁ…
陰口のせいだろうか。何か釈然としない。
はまた、何度目かのため息をついた。
上からは、ダンテがその様子をじっと見つめていた。
はもちろん、それに気づいていない。